本記事では、どんなビジネスライティングにも当てはまる、17つの基本ルールについてお伝えします。

総集編になっている分、長いので、目次を見て気になるところだけピンポイントで読むか、ブックマークして少しずつ読み進めることをおすすめします。

とりペンさん

【ナビゲーター】とりペンさん
ビジネスライティングラボ編集部に鍛えられている、文章を鍛えたいペンギン。上の顔が本体で、下の顔っぽいところは模様なんだとか。

本記事のゴール

文章における「17個の基本ルール」に則り、減点のない文章が書ける状態

5人に4人は基本ルールの段階でつまづいている!?

ビジネスライティングラボ編集部では、今まで数千本のライターさんの文章を見てきました。その中の実感値としてですが、基本ルールに言及しなくてよい原稿は全体の2~3割程度

逆に言うと、7割以上の原稿が、基本ルールについて「まあまあ指摘多いな…」と思われている状態なんです。

しかし、これはチャンスです。当たり前をきっちり踏襲するだけで、「仕事ができそうだな」という印象を持ってもらえる可能性があります。

これからお話するルールは決して難しいことではなく、今日からすぐに直せることばかりです。早々に習得して、まずは減点がない文章が書けるようになりましょう。

【超重要】あなたの文章は誰も読みたくない

とりペンさん

ちょ、ちょっと!冒頭からあまりにもショッキングすぎる話では…?

そうなんです。

ビジネスライティングにおいてはものすごく重要なことなので繰り返します。あなたがどんなにがんばって書いて、それがたまたま人の目に触れたとしても、「あなたの文章を読みたい人」なんて誰もいないんです。

Googleで検索をするときを思い浮かべてみてください。あなたは何かしらの課題があって、その課題を解決したいから文章を読みますよね。

つまり、文章を一語一句読まなくても、課題が解決できればそれでいいんです。

小説など文字が媒体となるエンタメの世界は別です。文章を読みたくて読んでいる人も中にはいるでしょう。

ただ、ビジネスが「相手の課題解決」である以上、ビジネスライティングにも課題解決が期待されます。

だからこそ、いかに文章を読むことにストレスを感じないかは重要です。特にWEBでは、少しでもストレスを感じるとすぐに他の記事に逃げてしまいます。

これからお話する基本ルールは、読み手のストレスをなくすための、最低限のお作法です。

「読みたくない」と思っている人が「ストレスなく読み進められる」ような文章に仕上げるための第一歩として、インストールしていってください。

【概要】初心者が押さえるべき17の基本ルール

これからお話するのは独特のローカルルールではなく、どの文章でも当てはまるであろうルールです。

最初は意識して直さなければいけないところもあると思いますが、繰り返して無意識にすり込みましょう。初心者でも3ヶ月くらい意識して書いていれば、間違っている部分があると、自然と違和感が出てくるようになります。

とりペンさん

17もあるの!?多すぎて覚えられないよ…。

…と言いたい気持ち、わかります。確かに1つ1つ覚えるのは大変ですが、言いたいことの趣旨をグループにわけると4つだけです。

要するに、大枠でこの4つが達成できるように書けば、ルールを1つ1つ覚えなくてもOKです。

表現を誤用しない(4つ)

1つ目は、まとめると「読み手に意味を誤認させないようにしましょう」ということです。

とりペンさん

誤った表現?子どもじゃないんだから、間違えることなんてそうそうないでしょう?

そう思っている人ほど…罠にはまりますよ。

①:正しい日本語を使う

試しに、こちらの言葉。AとB、どちらの意味か、3秒以内で答えてください。

役不足
A.自分の力量に対して、役目が重すぎること。
B.自分の力量に対して、役目が軽すぎること。

正解はこちら(押すと開きます)

2012年のマイナビニュース統計によると、実に半数近くの人が誤用している表現です。

もう1問行きましょう。これは10秒で答えてください。

蟹料理店でのお食事の件ですが、蟹が食べれない都合上、ご遠慮させて頂きたいと考えています。申し訳ございせん。何卒宜しくお願い致します。

とりペンさん、間違いはいくつありました?

とりペンさん

「蟹が【食べれない】は、ら抜き言葉だよね。あと、【申し訳ございせん】って脱字があるね。他は読み方も特に違和感ないから、2つかなぁ…」

正解はこちら(押すと開きます)

間違えた方も少なくないのではないでしょうか。

このように、意外と間違って覚えていたり、使っていたりする言葉もあります。

「たかが日本語」「たかが誤字脱字」と思うかもしれませんが、特に扱うトピックに思い入れのある人ほど、誤用されるだけで信頼度が下がるなんてことも…。

特にライティング初心者の方は、自分の文章は必ずどこか間違っているくらいの認識で見直しましょう。

②:二重敬語を使わない

二重敬語とは、敬語に敬語を重ねることを指します。

例を挙げると「お召し上がりになる」は、「お~なる」という尊敬語と、「召し上がる」という尊敬語を重ねて使っているので、二重敬語です。

「拝見させていただく」も「拝見する」という謙譲語と「~いただく」という尊敬語が混ざっているので、二重敬語なのと同時に、用法としても間違っています。

普段、何気なく使っている言葉が二重敬語であることも珍しくありませんので、この機会に見直してみましょう。よく使ってしまいがちな二重敬語を下記に載せておきます。

よく使ってしまいがちな二重敬語(押すと開きます)

③:誤字脱字をなくす

誤字脱字については深く語るまでもないでしょう。

間違っていることが明確にわかる場合は、チェックができていないことが伝わってしまいますし、間違っているのかどうかわからない場合は、相手を混乱させてしまいます。

とはいえ誤字脱字のクセは厄介で、「なんとなく気をつけよう」だと、改善が進まないことが多いです。誤字脱字を撲滅するための集中強化月間を設けましょう。

とりペンさん

でも、自分の誤字脱字って、不思議なことに何度見直しても気が付かなかったりするんだよねぇ…。

たしかに、自分の文章を客観的に見るのは難しい時期もあるかもしれません。できれば第三者に赤入れしてもらえると、客観的な自分の間違いパターンがわかって改善が進めやすくなります。

参考までに、編集部の1人は経営コンサルタントだったのですが、毎日毎日、議事録に赤入れをされ続け、1~2ヶ月でやっと「基本的な指摘事項がほぼない状態」になってきたと話していました。

④:この世の真理でないことに「絶対」「必ず」は使わない

文章を載せる媒体にもよりますが、「絶対」「必ず」などの断定を行う際は、注意が必要です。

書いている内容が本当に「絶対」なのか。根拠がはっきりしていないと、文章全体の質を疑われかねません。ひどい場合は利害関係者からクレームが入ることもあります。

あえて「文章を載せる媒体にもよる」と書いたのは、コンテクスト(文章が発信された背景)をどれだけ知ってもらえているかにもよるためです。

たとえば、SNSでの発信で、普段の発信傾向を知っているフォロワーさん向けの投稿であれば、「あえて言い切っているんだな」と行間を読んでもらうことができますし、キャラ作りの一環にもなります。

とりペンさん

たしかに、SNSでは「◯◯と△△はバランスよく考えよう」みたいな無難な発信よりも、「絶対◯◯からやれ!△△は最初は考えなくていい」みたいにポジションがわかりやすいほうが目立つよね。嘘はダメだけど。

一方、ブログのように発信者の顔が見えにくい、かつ新規の読み手が多い媒体に載せる文章だと、コンテクストが伝わりにくいです。

その場合は敵を作らない表現のほうが無難なので、「絶対」「必ず」は使わないことを推奨します。

表現を統一する(4つ)

文章では、同じ意味の言葉を違った表現で書くと、「ここで表記が変わっているのは何か意味があるのかな?」と読者を考えさせ、混乱させてしまいます。

2つ目は、「読み手に意味を考えさせないように、表現をきちんと統一しよう」という内容になります。


⑤:表記揺れしない

表記揺れはライティング初心者が起こしやすいミスの1つです。こちらの文章をご覧ください。

御社のWEBサイトは6つのページで構成されていますが、弊社のホームページは20ページで構成されています。

この文章、違和感ありましたか…?

この文脈で、「WEBサイト」と「ホームページ」は同じものを表しているのに、別の表現がなされていますし、「6つ」「20ページ」のような全角半角混じった表現も見られますね。これはライティングにおいてはごNGです。

とりペンさん

文章の頭とお尻で表現が変わっちゃうってありそうだなぁ…。よく表記揺れしやすい言葉ってあるの?

では、表記揺れがよく起こる9つのパターンを並べてみましょう。

表現を誤用しない…とは具体的に?

①:漢字・カタカナ・ひらがなの表記ゆれ
例)犬・イヌ・いぬ
②:送り仮名の表記ゆれ
例)お問い合わせ・お問い合せ・お問合わせ・お問合せ
③:英語の大文字小文字の表記ゆれ
例)Google・google
④:外来語の読み方の表記ゆれ
例)ビーガン・ヴィーガン
⑤:略語との表記ゆれ
例)スマホ・スマートフォン
⑥:全角と半角の表記ゆれ
例)6つ・6つ
⑦:同義語の表記ゆれ
例)WEBサイト・ホームページ
⑧:日本語と外来語の表記ゆれ
例)会議・ミーティング
⑨:です・ます調とだ・である調の表記ゆれ

誤字脱字と表記ゆれがなくなるだけで、基本ルールの半分以上はクリアと言っても過言ではありませんよ。

⑥:数を表すときは半角アラビア数字を使う(「一つ」ではなく「1つ」)

「原則として半角アラビア数字(算用数字)を使う」と覚えると早いです。例外として、「一石二鳥」のような漢字で表す熟語や慣用句は漢数字を使います。

⑦:値段を表記するときはカンマを入れる(「1000円」ではなく「1,000円」)

「1,000円」くらいであればすぐに理解できますが、「1000000000円」の桁を、ぱっと見て判断できますか?

「1,000,000,000円」とカンマを打つだけで、「100万の1,000倍だ」と直感的にわかるので、0の個数を数えなくてもよくなる可能性があります。

数字に慣れている人によってはカンマなしの数字を見ると気持ち悪くなる…なんてこともあるので、つけておいたほうが無難です。

⑧:同じ階層の見出しにおける表現形式は統一する

大見出し、中見出し、小見出しと同じ階層にある表現は、統一感を持たせましょうというお話です。

「1つの大見出しが動詞で終わるなら、すべての大見出しを動詞で終わるようにする」みたいなイメージですね。

例えば、大見出し4つを並べたときに、以下のような表現だといかがでしょうか。

・表現を誤用しない(4つ)
・表現の統一(4つ)
・表現を明快に(6つ)
・モラルに反しない

とりペンさん

なんだか読みにくい!いらっとする。笑

終わり方が動詞・名詞などばらばらですし、最後は急に(3つ)がなくなっています。これだと、読み手は考えることが増えてストレスになってしまいますね。

表現形式の統一しかり、文章の隅々まで負荷を下げるために配慮しようという姿勢で書いてあげること。これはビジネスライティングで大事な要素の1つです。

表現を明快にする(6つ)

書いてあることはわかるし、言葉として間違ってもいない。だけど、なんだろう。まどろっこしくて読む気がしない…。そんな文章ってありませんか?

もしかすると、言葉の使い方に問題があるかもしれません。

以下では同じ日本語でも、表現をより明快に、わかりやすくする方法をお伝えします。

⑨:一文一義の原則を頭に入れる

一文一義の原則とは、1つの文章の中には1つの情報だけを入れましょうというお話しです。1つの文章に複数の情報を詰め込むと、長すぎて何が言いたいかわからなくなってしまうためです。

文章で見てみましょう。

iPadはアップル社の製品で、販売から10年経ちますが、他社製品と比べても圧倒的に仕事の効率が高まるツールです。見た目もシンプルでかっこよく、できるビジネスマンの印象を与えられるのもいいですね。それに、アプリをうまく組み合わせて活用すれば、今まで何万円とかけていたソフトと同じ機能をほぼ無料で使うことも可能になります。ネットのニュース、雑誌や書籍、SNSなどのアプリもまとまっているので、情報収集にも役に立つんです。これがクラウドのすごさですよね。

これ、あなたならどう伝えますか?少し時間を取って考えてみてください。

とりペンさん

うーん…。日本語として成り立ってるし、誤用もしていないし、このままでもいい気がするんだけどなぁ。

では、以下のように変えてみたらいかがでしょう。

解答例はこちら(押すと開きます)

文章をシンプルにしただけで、急にわかりやすくなったと思いませんか?

文章が長くてまどろっこしいなと思ったら、複数のことをいっぺんに言おうとして「、」で無理やりつなげてないか。ちゃんと一文一義になっているかを確認しましょう。

⑩:こそあど言葉は使わない

※「こそあど言葉」については、以下タブをご参照ください。

名詞これ(事物)
ここ(場所)
こちら(方角)
連体詞この
副詞こう
形容動詞こんな

こそあど言葉については「絶対に」使ってはいけないというわけではありません。現に本記事でも指し示す言葉が明確な場合は「この文章」などと記載しています。

指し示す言葉が長い場合は、文章をすっきりさせることにも役立ちます。

ただし、多用は危険です。文章が長くなればなるほど、こそあど言葉が何を指しているかわからなくなってしまうからです。

ちょっとくどいかもしれませんが、混乱させるくらいであれば、こそあどが指す言葉を繰り返し使ってしまいましょう。

△:愛媛県はみかんのような柑橘類の名産地です。その生産量は全国の4割以上を占めています。
◯:愛媛県はみかんのような柑橘類の名産地です。愛媛県における柑橘類の生産量は、全国の4割以上を占めています。

⑪:二重否定は使わない

二重否定も読み手に考えさせてしまう表現の1つです。「結局どっちなの?」ということが直感的につかめないからですね。以下の文章を見てみてください。

例)子どもではできないというわけでもないでしょう。

たしかに、できないと否定したくもないし、できると言い切りたくもないので二重否定になる気持ちもわかります。ただ、以下の文章のほうが読みやすくなりませんか?

例)子どもでは難しいかもしれないが、できる可能性もあるでしょう。

繰り返しになりますが、文章は考えさせた数だけ読みにくくなります。ことビジネスライティングにおいては、できるだけ直感的に把握できる表現にまとめましょう。

⑫:書き出し、文末で同じ表現を繰り返し使わない

書いた文章を見直すと、連続する2つの段落で、書き出しや文末に同じ表現を使ってしまっていることがあります。

例)ですので、自動運転車は21世紀最大の発明となる可能性があり、自動運転車を制することはビジネスを制する可能性があるのです。ですので、…

あえて強調するために繰り返し表現を使うという中級者以上のテクニックもありますが、基本的にはくどいと受け取られてストレスにつながります。

文頭文尾がくどくまとまってしまっていないか、注意して確認するようにしましょう。

⑬:季節や時期に関わる言葉はなるべく入れない

自分が情報を探していてたまたま見た文章に「2022年春頃には」と書いてあったら、どんな印象を受けますか?

とりペンさん

人によるかもしれないけど、自分は「ちょっと情報古いのかなぁ」と思っちゃうかも。

仮に掲載している情報が最新のものであっても、季節や時期を入れることで、読み手の現状とギャップがある場合に違和感を持たれてしまう可能性があります。

もちろん、季節が変わるたびに、最新情報が出るたびに細かく文章をメンテナンスできるのであれば、素直に書いてしまってもよいかもしれません。

しかし、そうでない場合は、文章の賞味期限が切れたように思わせてしまうこともあるのです。

季節や時期はもちろん、よく変動が起こる要素については注意しながら取り入れるようにしましょう。

例外として、SNSのように「鮮度が大事」「一度発信したものを後から見返されることはほとんどない」という特性を持つコンテンツについては、じゃんじゃん旬のネタを放り込んでいったほうがよいです。

媒体の特性によってうまく使い分けましょう。

⑭:漢字の「ひらき」を使う

一般的でない漢字・読み方が難しい漢字は、ひらがなにしたほうが理解してもらいやすいよ、というのが漢字の「ひらき」の趣旨です。

「表現を明快にする」という項目の中で、最もさじ加減が難しいのですが、ベースとしてひらくべき漢字は2パターンあります。

パターン1

文化庁が定める常用漢字表に記載されていないもの

例)繋ぐ、喋る、謳う、絆、揃う、貰う

パターン2

形容詞・副詞・接続詞・形式名詞・補助動詞・複合動詞

×先日はお時間いただきまして、誠に有難う御座いました。またいらっしゃるは、お立ち寄り下さい

○先日はお時間いただきまして、誠にありがとうございました。またいらっしゃるときは、お立ち寄りください。

とりペンさん

こんなにたくさん覚えられないよ…。何かわかりやすい判断基準ってあるのかな?

そんなときは、自分が手書きのお手紙を書くときのことを考えてみましょう。

感覚的ではありますが「お手紙で書かない漢字はひらいた方がよい」というのが、判断基準の1つとしてわかりやすいです。

以下はよく漢字を使ってしまいがちな表現なので、これだけは覚えてしまいましょう。

×
出来るできる
予めあらかじめ
ごと
更にさらに
全くまったく
良いよい
など

モラルに反しない(3つ)

最後はモラルに関する話です。善良なあなたであれば、特に気にしなくてもよいこともあるので、肩の力を抜いて読んでくださいね。

⑮:コピペをそのまま使わない

信じられないかもしれませんが、世の中にはインターネットで調べた情報をコピペして、そのまま提出してくる方がいます。また、ちょっとだけ表現を変えて自分のものとしてしまう方もいます。

とりペンさん

でも、ぶっちゃけさ。検索結果の30番目とかから引っ張ってくれば、見つからないんじゃないの?編集者もそこまで調べないよね?

甘いです。コピペは普通にバレます

まず、世の中には「コピペチェックツール」というものがあります。どのURLの記事に何%類似している、ということまでわかってしまうんです。

まっとうな会社であればコピペチェックツールは使っていますし、バレたら書き直しで済めばまだよく、契約破棄になることも珍しくありません。

ちなみに、コピペでなかったとしても、ChatGPTのようなAIツールが生成したコンテンツもバレます

この世の真理やすでにある言葉の定義に関する文章でない限り、AIツールの文章は抽象的で面白くなく、嘘が混じっていることもあって特徴的だからです。

とりペンさん

インターネット上から情報収集してくることもあるだろうから、コピペするつもりがなくても似ちゃうことはあるんじゃないかな?

いい質問ですね!確かに、100%他の記事と類似しないというのはほぼほぼ不可能だと思います。

特に、答えが決まっている「言葉の定義」に関する記事なんかは結果的に50%くらい似通う可能性もありますので、どこまで許容するかは編集者さんのさじ加減次第になります。

⑯:字数稼ぎをしない

記事を書くときに、「最低3,000字で」など、文字数指定をされることがあります。

ライターさんの報酬は「文字数×文字単価」で決まっているところもあるので、労力をかけずに字数を稼ぐために、表現を無駄に長くする人(冗長に表現する人)も出てきてしまいます。

例)
×原子力発電の撤退は、人々にとって必ずしも幸福な未来をもたらすわけでもないのではないか、と考えております。
◯原子力発電の撤退が人々に幸福な未来をもたらすとは、一概に言えないでしょう。

この一文だけでも20文字近く長くなっています。

同じような文章が10個あると、実に段落1つ分は無意味な言葉が占めることになります。

編集者は、文章を読みやすくするために、同じ意味ならできるだけ言葉を少なくしようと努めますから、この手の字数稼ぎはことごとく修正が入るか、差し戻しになる可能性が高いです。

とりペンさん

こういう長い表現って、わざとやろうと思わなくてもなっちゃうこともあるんじゃないかなぁ…?

たしかに、便宜的にモラルの話にまとめましたが、意識せずに文章が冗長になってしまうケースも多いです。頻度でいうと、誤字脱字と表記揺れの次くらいによく見かけます。

書いた文章を見直しするときに、もっと短い表現で同じことを伝えられないか考えてみましょう。

(編集部では「1文字あたりの密度」と呼んでいます)

⑰:センシティブな表現を使わない

センシティブな表現にあたる2分類

・差別表現
・法律に抵触する表現

差別表現は知らず知らずのうちに使ってしまっていたり、いつの間にか差別表現認定されているものもあります。

使わないほうがよい表現一覧をPDFにまとめたので、気になる方はこちらをクリックしてダウンロードしていってください。

一方、法律に抵触する表現ですが、さすがに法律をすみずみまで覚えてくれ、というのは難しい話です。法律がライティングと絡んでくるのはどんな分野だと思いますか?

とりペンさん

うーん…。そういえば昔、素人が健康の知識について書いていて、その知識が医学的に証明されていないものだったから、メディアそのものがなくなったって話を聞いたことがあるよ

そう。法律の中でも特に注意するべきものとしてよく知られているのが、健康に関わる「薬機法」。そして「著作権法」「景品表示法」です。

例として薬機法の場合を挙げると、有資格者でもなく、論文などによって証明もされていない場合は、基本的に「効果がある」など断定的な表現を使ってはいけません。

以前は「個人差があります」のような言い訳を置いておけばギリギリ見逃されていましたが、この文言もNGになりつつあります。

とりペンさん

効果をうたう以外に使っちゃいけない表現ってあるの?

あります。…が、1つ1つ突き詰めていくととんでもない量になるので、ここでは1つだけ例を挙げて説明します。

例)「幹細胞コスメ」という表現はNG
そもそも「幹細胞がコスメに入っている」というのは事実と異なる。
幹細胞エキスや幹細胞の培養液が入っているというのが正しい表現です。
あたかも幹細胞そのものが入っているように見える表現は誤解を招くとして広告では禁止されている。

法律が絡まなければ「誤用でした」で終わりますが、法律に抵触する以上「誤用でした」では済まなくなります。とくに専門用語を使う場合は、用語が正しく使用できているか確認するようにしましょう。

とりペンさん

著作権法や景品表示法はどういうことに気をつければよいの?

詳しく掘り下げると、それぞれ1記事できるくらい考えることがたくさんあるので、初心者でも意識しておくべきポイントを以下にまとめました。気になる方はそれぞれの項目を押してみてください。

著作権法のポイント(押すと開きます)
景品表示法のポイント(押すと開きます)

ビジネスライティング初心者は基本の「キ」を完璧に押さえよう

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。なんだかんだ、なかなか重く、耳が痛い内容だったのではないでしょうか。

だからこそ、最初にお伝えしたように、基本ルールができているだけで差別化になるのです。

文章を書く機会はメールやチャット、レポートや社内のメモなどでたくさんあるはずです。その1つ1つを妥協しないだけでも、基本ルールが無意識に身についていきます。

本日お伝えした内容を普段から実践し、ビジネスライティングに落とし込んでいきましょう。

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